中国・雲南省

中国・雲南(うんなん)省昆明(こんめい)市の紹介です。旅行、留学、転職のための評判ガイドです。観光地やお店、会社の口コミ・レビューなど。(劉凱鵬)

中国 雲南省の旅

2007年1月

麗江の玉龍雪山

標高2400メートルの雲南省北西部の麗江市。地元の人々があがめる玉龍雪山(5596メートル)の雄姿を見ようと、氂牛坪(もうぎゅうへい)(約3600メートル)に向かう途中の出来事。

玉龍雪山は主峰の扇子陡(せんしとう)をはじめ13の峰からなり「神々が暮らす聖なる山」と呼ばれる。幸い白水河の街を過ぎたころには、山の一部が見え始めた。「山上は晴れているかもしれません」と地元ガイドの言葉に胸が高鳴った。

雪を頂いた山の姿は、空を飛翔(ひしょう)する銀色の竜に見えるという。「国家クラス風景名勝区」だ。?牛坪のゴンドラ乗り場から、早速上がったが、厚い雲は去らず、願いはかなわなかった。

26の民族

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雲南省には26の民族が暮らす。麗江市は納西(ナシ)族、白(ぺー)族などの少数民族で構成される。麗江市の中心部にある麗江古城は約800年前につくられた。古城は城壁を持たない。この地を治めた木氏が「城壁で囲むと『木』が『困』となり民が苦労する」といったのが理由の1つという。

納西族

漢族やチベット文化の影響を受けた納西族が、象形文字のトンパ文字を使うなど独特なトンパ文化を担い、石畳が特徴的な美しい街を築いた。街並みの美しさなどが評価され、1997年、ユネスコ世界文化遺産に指定された。

800年の歴史

玉龍雪山からの清流が網の目のように市街を流れ、枝垂(しだ)れ柳が時折揺れていた。四方街を中心に石畳の道が「四通八達」する。角が丸くなった石畳がつるつるで滑りそうになった。さすが800年の歴史であった。

観光客らの歓声

通りの両側には瓦葺(かわらぶ)きの家、茶や雑貨、食堂などの店がぎっしり。夜、軒につるされた提灯(ちょうちん)が風情を醸し出す。窓の無い部屋からは、観光客らの歓声が聞こえた。麗江の人々は誰もが“神々が暮らす山”に畏敬(いけい)の念を持ち生きてきたという。自然との調和、共存という意識が、美しい街並みを守ってきたのであろう。

翌日も山は雲で覆われていた。街はかすみ、遠くに見えるはずの玉龍雪山は分からなかった。納西族があがめる神の山を、必ずわが目にしたいと心底思った。次回の宿題としよう。

アクセス

関西国際空港-(直行便で約5時間)-昆明。日、火、木曜日の週3便運航。昆明-(空路で約50分)-麗江

見どころ

麗江古城の中心地、石畳の広場の四方街▽旧市街を一望するなら西側にある獅子山の上に築かれた木造建築の万古楼へ▽天気がよければ玉龍雪山が水面に映える玉泉公園▽隣接するトンパ文化博物館は納西族の伝統工芸品や、トンパ文字の資料などを展示▽白沙村には木氏が納西族やチベット族らの絵師に描かせた白沙壁画がある

料理

野菜やキノコ類を使った火鍋料理など

宿泊

大港旺宝国際飯店(麗江)など

問い合わせ

中国国家観光局大阪駐在事務所。旅行会社に各種のツアーあり

中国・雲南省 伝統の生活様式守る少数民族

2004年9月

雲南省には、26もの少数民族が住んでおり、その数は1000万人に上る。このうち代表的な少数民族である彝(い)族の集落がある「白水鎮」を訪ねた。

刺しゅう、鮮やかな色彩

瀘西(ルーシー)から出発

昆明からバスに揺られて約3時間のところにある瀘西(ルーシー)という小さな町から出発。両脇にトウモロコシ畑やソバ畑が広がり、水牛にひかせた荷車がのんびりと行き交う山道をバスで走ること約2時間半、レンガ造りの集落が、こつぜんと姿を現した。

集落は145世帯で総人口約600人。自給自足の農業を主体とした山村だ。民家の軒先には干した赤いトウガラシなどがつるされ、庭先には鶏小屋や豚小屋が見える。通りでは、真っ黒い巨大な水牛の手綱を引く小さな男の子がのんびり歩いている。にぎやかだけれど整然とした集落で、民家を取り囲むように作られた畑も、よく手入れされている。

民族衣装

この日は、中学生くらいに見える娘さんたちが、冠婚葬祭やお呼ばれの時に着るという民族衣装を身に着けてくれた。

両耳の上に着けた大きな赤いぼんぼりがかわいらしい。胴着や前掛けは、赤や青、黄、ピンクなど鮮やかな色彩の刺しゅうでびっしりと埋め尽くされ、実に華やか。聞くと、1着の刺しゅうは最低でも1年がかりだそうだ。

色とりどりの刺繍

男性の正装はベストに黒い帽子と、女性と比べて拍子抜けするほどシンプル。ベストは白地に青い縁取りが付いており、ポケットなどに色とりどりの刺繍(ししゅう)が施してある。これは、妻や姉妹など、身近な女性に作ってもらうのだそうだ。

ここでは裁縫や刺しゅうは女性の重要な仕事の1つとされており、女の子は6歳になったら針仕事をお母さんから習い始めるのだとか。木製の機織り機も各家庭にあり、麻と綿半々の糸で織り上げる白地の布が、民族衣装作りに使われる。この機織り機、それぞれ夫が妻のために手作りするのだという。ここでは、夫たるもの、機織り機くらい作れないとだめらしい。

民家の庭先で、若い女性が機織りの実演をしてくれたのだが、最初は静かに見守っていた村民から「足が違う」「手が違う」と、口うるさいくらいチェックが入る。しまいには、ああでもない、こうでもないと手取り足取りで機織り教室が始まってしまった。

恋歌

村での暮らしには歌も重要らしい。特に恋歌が…。気になる異性には、農作業をしながら相手を誘う歌を歌い合い、お互いの気持ちを歌で確かめ合うのだという。歌がかみ合わなければ、その相手とは2度と一緒に歌わないのだとか。そうやって歌で互いの距離を縮めていき、やがて結婚するのだという。なんて典雅で風流な恋愛だろう。音痴で歌が苦手なわたしとしては、ここでの暮らしは厳しそうだ。

夕暮れとともに空があかね色に染まり、家屋のレンガ色ときれいに溶け合った。鳥の群れが夕焼け空を横切っていく。にぎやかな村の静かな夕暮れ。初めて訪れた場所なのに、なんだかひどく懐かしい場所に思えた。

メモ
★交通

雲南省の省都、昆明へは関西空港から中国東方航空の直航便が出ている。所要5時間弱。成田空港からは、上海空港や北京空港などで中国国内線に乗り換える。

★見どころ

雲南省には、カルスト地形の景観として名高い「石林」がある。約350平方キロ内に石峰が林立する様は壮観だ。内部の遊歩道は迷路のようになっている。古い町並みが保存され、世界文化遺産に登録されている「麗江古城」にも、世界中から観光客が訪れる。少数民族の生活様式や文化について展示している雲南民族村などもある。

★問い合わせ

中国国家観光局(東京)

昆明とは

2012年

ビルのような岩続く

昆明は、ベトナム、ラオスなどと国境を接する中国南部の標高約1900メートルの高原にある大きな街。人口約600万人で、独自の文化を持つ少数民族も多い。穏やかな気候で、年中、花や緑が絶えないことから「春城」と呼ばれている。

世界遺産の石林

昆明といえば、巨石が連なる、世界遺産の石林が有名だ。海底が盛り上がり、その後、風雨にさらされて、現在の地形が生まれた。巨大なビルのような岩が延々と続いていた。1人でこの石林の中に迷い込むと、方向や出口が分からなくなり、野たれ死にしてしまうかもしれないと感じた。

「登竜門」の語源

郊外にある西山龍門石窟を訪ね、感銘を受けた。「登竜門」という言葉の語源になったといわれる寺で、山の断崖絶壁にある。この門を通り抜ければ、運が開けるという。何百メートルも続く崖に足がすくんだが、せっかくここまで来たのだから、と必死の思いでたどり着いた。

スモッグ

昆明は、近年めざましい発展を遂げ、高速道路やビルが立ち並ぶ。中国の他の都市と同じように、車の渋滞やスモッグに悩まされていた。

長い歴史に育まれた文化や、豊かな観光資源に恵まれた、魅力の尽きない国、中国。今の勢いで、どこまでも発展を続けるのか、それとも、大きすぎる体をもてあまし、いつか壁に突き当たるのか。そんなことを考えながら、これからも中国の街を歩いてみたい。


「中国の10大ニュース」(2008年)

2008年3月、中国の有力紙「文匯報」が中国人1000人にアンケートを実施し、2008年の10大ニュースを選んだ。それぞれにデータと解説を加え、中国が直面している課題をあぶり出す。

第1位 物價上漲(物価上昇)

中国国民にとって挨拶代わりの話題は物価だ。消費者物価指数(CPI)は2007年から上昇を続け、2008年2月は1月比8・7%を記録した。ここ10年で最高のインフレ率である。

中国ではCPIの3割強を食品が占めている。その食品が上昇したのだから、人びとが悲鳴を上げるのも無理はない。なかでも深刻なのが食肉で、2008年2月には2007年2月比45%も上がった。

食肉の3分の2を占めるのが豚肉だ。豚肉価格が上昇したのは、飼料となるトウモロコシがバイオ燃料向け需要の急増で暴騰したためだ。さらには、2006年の市況悪化で養豚業者の廃業が相次いだところに、内陸部での伝染病が追い打ちをかけた。

問題は豚肉価格上昇の影響が食品全体に及んでいること。鶏肉や魚介類も30%程度、野菜や果物に至っては、46%も値上がりしている。中国のエコノミストのあいだには、小売りの便乗値上げや農家の売り惜しみを指摘する向きもある。

「食品価格高騰による物価上昇は低所得者層を直撃し、国民の不満を招きかねない」(真家陽一・日本貿易振興機構北京センター副所長)。中国政府は2008年のインフレ率を4%台に抑えると発表しているが、人びとの不安をぬぐい去るには至っていない。

第2位 金融走勢(金融トレンド)

2005年4月の1000から2007年10月に6000超えを果たした上海株式市場。証券投資専用の取引口座数は、2007年10倍増となり、中国国内の取引口座数は1億を突破、空前の株式ブームとなった。

ところが、2007年10月の共産党大会で金融引き締め策を発表、さらに米国のサブプライムローン問題に見舞われたことで、株価は急落、今では3200台にまで落ち込んでいる。

中国国内では、米経済誌「フォーブス」の2007年中国富豪ランキングで1位となった楊惠妍氏の資産が半分になったとも報じられている。中国には、借金をして株式投資に走り、生活苦に喘いでいる個人投資家が多いので、立派な社会問題だ。

それでも、市場関係者のあいだでは「一時的な調整局面」との楽観論が根強くある。そもそも、中国は国民総貯蓄比率(対GDP比)が50%を超えており、日本(26%)よりもはるかに高い。中国の金利は、普通預金で0・72%、5年物定期で5・75%だが、直近の8%の物価上昇率にあっては貯金目減りのリスクが高い。結局、個人資金は株式に戻ってくるしかないという理屈だ。

上海株式市場の時価総額の4割を占める上位10社は中国石油天然気や中国工商銀行などいずれも国有企業。「政府が支えている」という安心感から、庶民にとってはこれらの銘柄への投資は貯蓄に近いのだとか。庶民にとって株式投資は生活の一部なのだ。

第3位 住房難求(住宅難)

「日本人は15年、香港人は14年でマイホームを手に入れるというが、われわれはいつになったら買えるのかわからない」。中国の新聞記事にもこんな嘆きが載せられている。

北京市民の平均年間可処分所得が1万4000元。頭金を親に頼り、ローンで購入したとしても、「40万~50万元が限界」(不動産コンサルタント)だ。中国のマンションは90平方メートルなどと広いところが多く、1平方メートル当たり5000元が1つの目安になる。単純に掛け算すれば45万元で、ぎりぎり買えるか買えないか。

ところが、中国の不動産価格は2002年以降、急騰した。北京では1年で2倍、広東省では半年で50%住宅価格が値上がりしたなどのニュースが相次ぎ、土地を買っては転売したり、住宅やオフィスビルの開発に乗り出して荒稼ぎする“不動産長者”も現れた。

おかげで、住宅は庶民にとっては「高値の花」。「房奴」(住宅ローンの奴隷)になっても、大都市では一生買えない値段にまで値上がりしてしまった。

もちろん、中国政府も手をこまねいているわけではない。2007年10月に金融引き締めに走り、12月以降は一部の都市で不動産価格が3割も下落。土地を買ったものの、値が付かずにたなざらしにせざるをえない開発業者や店をたたんだ不動産業者が後を絶たないのだという。

もっとも、これも、一時的な調整のようだ。北京市内で500店舗もの不動産店舗を持つ北京鏈家房地産経紀有限公司の左暉社長は、「これまでの不動産市況は行き過ぎていたが、北京での供給は明らかに不足している」と断言する。

このところ、五輪時のホテル不足を当て込んだアパートやマンションのオーナーが居住者に立ち退きを迫ったり、家賃を上げる例も目立つ。庶民にとって住宅難は続きそうだ。

第4位 就業謀職(就職難)

「大学は出たけれど」。昭和の日本の話ではない。10%成長を続けている中国で、大学生の約3割が就職できないのだという。

最大の要因は、大学新卒者の増加だ。2000年の95万人に対して、2007年は約5倍に増加。2009年は600万人近い新卒者が労働市場に送り込まれる。

だが、問題は雇用のミスマッチが生じていることだ。単純作業をこなす低賃金労働者や地方の低賃金労働者の需給は逼迫しているものの、大学新卒者は都市のホワイトカラー職を目指している。労働市場全体としては人手不足であるにもかかわらず、新卒市場に限れば人が余っている。

また、1979年以降の一人っ子世代では、定職にも就かず、職業訓練も受けない「ニート」が増えている。親にとっても「子ども1人くらいは養える」経済的余裕が生まれているから始末に負えない。日本総合研究所が中国の統計を基にまとめた推計によれば、16~25歳のニートの人数は1216万人、同じ年齢層の人口構成比で3・2%に達しているという。

大学卒業までにかかるコストはとてつもなく大きい。それだけに、大学出の就職難は中国の人びとにとって他人事とは思えないようだ。

第5位 醫療衛生(医療衛生)

中国で社会問題化しているのが、「看病貴(病院の診察費の高騰)」と「看病難(医者にかかりたくてもかかれない)」である。衛生省の調査によれば、国民の半数は病気になっても医者に行けず、3割は入院が必要でも医者には行けないのだそうだ。

最大の理由が医療費の高さだ。中国での医療費はここ10年間で3倍となった。ところが、所得の伸びはそれに追いついておらず、とりわけ、農村の純収入は2倍にとどまっている。

しかも医療保険も整備されていない。加入者は都市で半分、農村で2割にも満たない。公務員や大企業労働者を除けば、たいていは未加入だ。中国政府は、都市と農村でそれぞれ医療保険制度をつくり、全員加入を目指しているが、失業者や出稼ぎ労働者までもカバーした国民皆保険制度の実現にはそうとうの時間がかかる

医療機関も政府からの補助が少ないため、利益至上主義に走っている。中国政府の医療費支出は対GDPで5%程度、日本の8%、米国の15%に比べて大きく見劣りする。

医療機関にとって手っ取り早く稼げるのが薬だ。中国では医療機関が薬価の15%以上、薬剤費に上乗せすることが認められている。となれば、医者はこぞって患者に薬を出し、同じ薬効のものなら高いものを選ぶことになる。同様に、検査も行なえば行なうほど、医療機関の収入となる。

医療機関のなかには、大部屋を減らして、個室に改築し、高いベッド代を徴収しているところさえ出現している。

医療問題は、生命さえもカネが左右することを物語っている。裕福な患者は私立病院で検査・治療を受け、海外メーカーが開発した新薬を試すこともできる。だが、低所得者層は医者にすら行けない。医療格差はますます根深い問題になりそうである。

第6位 教育問題(教育問題)

「上学難(上の学校に入れるのは難しい)」「上学貴(カネがかかる)」。これが親たちの最大の関心事であり、悩みのタネだ。

たとえば、大学に入れるにも年間授業料が約5000元かかる。都市のサラリーマンの平均年収の4分の1、農村のサラリーマンだったら半分に相当するものだ。さらには寮費や生活費を加えた、「4年間の必要資金は4万元かかる」(政治協商会議の議事録)ともいわれる。家計に占める教育費の割合は高いのだ。

興味深いことに、中国は社会主義国家でありながら、教育予算を削減してきた。教育費比率(対GDP)は今では3・41%。世界平均の4・7%を下回っている。

その結果、起こっているのが学校での“拝金主義”だ。小中学校では授業そのものは無料だが、計算コンテストなど有料のイベントが多い。これが学校の収入になるわけだ。また、テストで一定の点数に達していないときは、「択校」といって、点を買って合格にしてもらう習慣が横行している。

公立高校の入試もカネ次第。数千~数万元の「択校」を支払い、ゲタをはかせてもらえば、希望校に入ることができるのだ。

「択校」を利用するのはおカネ持ちだけではない。所得の低い家庭では、借金をしてまで「択校」を利用する。大学を出たかどうかによって、給料も変わってくるので、親も必死になる。

一人っ子政策と拝金主義で、教育現場は荒廃しつつある。

第7位 突發應急(雪害)

地球温暖化の影響か、世界的な異常気象の影響か。2008年1月下旬、広州など南部を50年ぶりの大雪が襲った。めったに雪が降らないところだけに、その被害は尋常ではなかった。死者115人、被災者は150万人以上。森林や農作物、家畜、養殖など、その直接的な経済被害は「111億元(1665億円)に上る」(中国政府当局者)という。

この大雪で、物流が完全にマヒした。高速道路は閉鎖され、火力発電の原料となる石炭の輸送もストップした。日系自動車メーカーなど製造業は部品の供給が間に合わず、操業停止を余儀なくされた。鉄道は運行できず、春節(旧正月)の帰省を楽しみにしていた出稼ぎ労働者は駅で足止めを食らった。テレビは連日のように、広州駅に溢れ返る出稼ぎ労働者の姿を映し出した。

大雪は消費者の生活も直撃した。物流停滞によるモノ不足から、物価高騰に拍車がかかった。野菜の価格は一気に50%上がるなど、すべての食料品の価格が暴騰した。市民からは「便乗値上げ」との批判も上がった。

雪害は物価上昇をもたらし、景気にも悪影響を与えた。2008年第1四半期のGDP成長率は10・6%、2007年第4四半期に比べて1・3ポイント低下している。

第8位 食品安全(食の安全)

冷凍ギョーザ事件で日本の消費者のなかには、中国製品への不信を募らせている人が少なくない。だが、中国の消費者も同様に、食の安全に神経をとがらせている。中国国内でも、2007年は有害物質を含んだ肉や野菜などが出回ったためだ。

「日本製があったらそれを買う。安心だから」と言うのは北京在住の外資系勤務の女性。確かに、高級スーパーやデパートの食品売り場には、日本語のパッケージのコメや「カップヌードル」など日本ブランドが置かれている。有機野菜の専用コーナーさえある。いずれも中国製品の3~10倍もするが、「固定客はついている」(北京市内のスーパー店員)。

たとえば日本のコメは、2007年7月に4年ぶりに輸入が再開されたが、「コシヒカリ」が2キログラムで198元(約2970円)などと、現地価格の20倍も高い。それでも初回輸入分4トンは完売した。

日本ブランドの安心感で好調なのがセブン-イレブン。4年前に北京に進出し、現在、62店を展開するが、1日の売り上げは「現地の便利店(コンビニ)の3倍」(セブン-イレブン・ジャパン幹部)という。値段もサンドイッチ5元、マーボー豆腐などの温かい惣菜とご飯を組み合わせて20元などと、決して安くはないが、ランチ時には長い行列ができる。「日系スーパー、イトーヨーカドーのコンビニとしての知名度がある」(セブン-イレブン幹部)。

温家宝首相も2008年3月の全国人民代表大会(国会に相当)で食の安全の重要性を強調。食品や医薬品など770品目についての安全基準を明確にした。北京五輪を控え、食の安全を国内外にアピールするのが狙いだ。冷凍ギョーザ事件は、中国が抱えているアキレス腱を露呈したといえる。

第9位 貧富差距(貧富格差)

2ケタ成長を続ける中国だが、貧富の格差は明らかに拡大している。都市部の1人当たり可処分所得は、最高所得者層では16・7%伸びているのに対し、最下層ではわずか3・4%にすぎない。経済成長の恩恵は高所得者層や中間層のみが享受し、低所得者層には行き渡っていないことがうかがえる。都市の高所得者が株や不動産で資産を増やしているのとは対照的に、低所得者層の所得の伸びは、食料品の値上げ率をも下回り、苦しい生活を余儀なくされている。

都市と農村の格差も拡大している。農村の所得は都市の3割程度にすぎない。農村でもカラーテレビはほぼ一家に1台、携帯電話普及率も50%に達してはいるが、エアコンやマイカーなどの耐久消費財は夢のまた夢だ。

格差拡大は低所得者層の政治への不満をあおり、政治不安、ひいては共産党の一党独裁体制を揺るがすことにもなりかねない。胡錦濤国家主席は、格差是正に向けて「調和社会」をスローガンに掲げ、火消しに躍起だ。

第10位 北京奥運(北京五輪)

北京五輪は一大イベントと思いきや、10位でしかなかったのは、調査が香港や中国南部で実施されたためだろう。

じつは、五輪の経済効果はさほど大きくない。野村證券金融経済研究所が産業連関表を用いて試算したところによれば、五輪のGDP押し上げ効果は、0・22~0・37%にすぎないという。

日本では、東京五輪を機に、インフラ投資を進め、それを経済発展の起爆剤にしてきた。それゆえに、五輪の後の反動不況も大きかった。韓国やギリシャなどでも同様の傾向が見られるが、中国の場合は押し上げ効果が小さいぶん反動も小さいだろう。

そもそも、北京が中国のGDPに占める割合は4%程度にすぎない。ちなみに、東京は日本のGDPの20%を占めており、首都同士とはいえ、国全体に及ぼす影響度が違う。また、東京五輪のときは、首都高速や新幹線などに1兆円を投じたが、これは対GDP比3・6%に相当する。中国は第三空港や高速道路整備の総投資額2900億円程度で、対GDP比では1・1%にすぎない。

日本では、五輪後にテレビがぱたっと売れなくなった。中国ではすでにテレビは一家に1台を超えているが、液晶など薄型テレビの需要が増えることもあって、急激に売れなくなるとは考えにくい。

経済効果は小さいとはいえ、五輪は中国の人にとって、最大のイベントだ。五輪のチケット購入期間には中国全土から毎日、800万アクセスもあり、一時は回線がダウンしたこともあったという。北京五輪を成功させようという機運は北京のみならず、中国全土に広がっている。